産婦人科医が妊婦に新型コロナワクチン接種を薦める事は
『医療従事者向け総合医療情報「m3.com」に掲載 2021.9.18』
八木クリニック(産婦人科)八木 謙
アメリカのCDC(疾病対策センター)は2021年8月11日、妊婦への新型コロナウイルスのワクチン接種は「安全で有効」だとして、接種を推奨した。
これを受け日本の厚生労働省は妊婦にも新型コロナワクチンの接種を受けることを薦めている。またこれを受け日本産婦人科学会も日本産婦人科医会もそれに同調し、妊婦には積極的にワクチン接種を薦める方針を決めた。そして妊婦の主治医は妊婦にワクチン接種を受けるよう促してくれと言っている。
厚生労働省、学会、医会は「妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種することができます。m-RNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はありません」としている。しかしワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼさないという報告も無いではないか。実際のところまだ解ってないのだ。
勿論ワクチンを打つ打たないは妊婦本人が決めることであるのは当然である。リスクとベネフィットを勘案し正しい情報の基で判断しろと言う。妊婦自身にそんな判断など出来る訳がない。そんな正しい情報など与えられていない。与えられていないというよりそんな情報は無いのだ。産婦人科医とて知らない。
そんな産婦人科医が妊婦にワクチンを打つことを薦めていいだろうか。その医師は何も知らないのだ。厚生労働省、学会、医会からの上記の僅かな情報が入っているだけである。有害事象が無いと無条件に信じることは危険である。信じるより確かめろ。確かな証拠がないものは信じるな。これが科学者の鉄則である。いまこのワクチンについての確かなデーターはない。アメリカが大丈夫だと言った。だから信じろ。は通用しない。
日本は単位人数あたりのコロナ罹患率死亡数が欧米の40分の1という低さ。これは事実である。米国と比較すると100分の1。これだけ違えばアメリカを参考に出来ない。日本独自の統計を取らなければ正しい判断は出来ない。
新型コロナワクチンは日本でも緊急使用許可がでているだけである。緊急使用は、公衆衛生上の緊急事態が起き、承認された治療薬やワクチンがない場合などにのみ許可される。日本ではこれを条件付き承認「特例承認」と呼ぶ。
ここで根本的な疑問が湧く。日本の妊婦は公衆衛生上の緊急事態が起きている状況といえるだろうか。妊婦がコロナでばたばたと死んでいるか。そうは見えない。緊急事態が起きていない日本の妊婦に緊急使用許可のみが出ているワクチンを使う事は理論的に無理がある。
薬害エイズ事件やフィブリノゲン製剤投与によるC型肝炎事件は記憶に新しい。しかしこれは血友病やお産等で大出血後なお出血が止まらないときに必要があり使用したのである。今回の場合健康な正常妊娠の妊婦に使おうというのだ。無謀すぎる。
ある産婦人科医は一般人向け文章でm-RNAを埋め込んだ脂質ナノ粒子(LNP)は胎盤を通過しませんと断言した。妊婦は産婦人科医の言う事を信じる。このワクチンを打っても胎児には影響しないのだと。自分が健康であることは胎児にとってもいいことだ。多少の副作用があり少しくらいの熱や痛みなら胎児のために打っておこう。しかしLNPが胎盤を通過しないというのは事実なのか。この医師はえせ論文をちらっと見ただけでそう言っているのではないか。LNPが胎盤を通過しないという事を実際に検証しているのか。常識的に考えてもLNPは胎盤を通過するだろう。LNPはナノ単位の大きさである。調べてみると10~1000ナノメーターとある。免疫グロブリンのIgGだって胎盤を通過するのだ。IgMは通過しないが。ウイルスの大きさが10~100ナノメーターである。(これより大きい巨大ウイルスもある)ウイルスは易々と胎盤を通過する。LNPだって胎盤を通過すると考えるのが常識的だ。
投与された遺伝子が遺伝するか否か。ハツカネズミは20日間で1世代を送る。10世代くらいの追跡は短時間で行うことができる。妊娠マウスにm-RNAを投与し10世代の子孫マウスにその遺伝子が残っていなければ、遺伝しないと言える。遺伝しない遺伝子とはシェークスピアの言葉遊び級の洒落だ。だがもし遺伝したとすれば大変なことになる。
m-RNAは体内に入り短時間で消失する。しかし消失する前にDNAに遺伝情報を渡す。母体に投与されたLNPは速やかに母体の血中に入り胎盤を通過し胎児の血中に移行する。この遺伝情報は胎児の生殖細胞まで到達する。母親がワクチンを打って自分に大した被害がなく出産したとき赤ん坊になんの異状がなくとも20年後、その赤ん坊達が生殖年齢になったときこの男性と女性から作られた受精卵には2重のこの人工遺伝子が存在することになる。遺伝子の中には中立遺伝子という遺伝子がある。善いことも悪いことも何もしない遺伝子である。この役に立たない遺伝子が各生物の中に沢山あることは知られている。多分胎児に伝わったこの人工遺伝子も中立遺伝子としてただ存在するのだろうと思う。しかし中立であるという保証はない。この遺伝子が宿主にとって有用な働きをしてくれなくたっていい。中立であってくれさえすればいいのだ。しかしこの遺伝子が有害事象を起こさないという保証が得られてないのである。
同様の理由で妊婦だけでなく子供にも打ってはいけない。更に同様の理由でこれから生殖期をむかえる男女にも打ってはいけない。
遺伝子の書き換えは突然変異とウイルス感染によって起こることは知られている。しかもこの書き換えは非常に永い時間がかかって行われる。ヒトにおいて人為的に書き換えてよいものだろうか。食料は遺伝子書き換えでいい品質のものがどんどん生まれている。その品質はその子孫まで受け継がれる。食料は遺伝子の書き換えがあったってかまわない。人間がウシを食ったってウシに近づくことはない。摂取された食料は消化管でアミノ酸まで分解され体内に取り込まれる。遺伝子は体内に入ってこない。だが遺伝子書き換えを人体で行うのは危険である。
人類にとってm-RNA入りのワクチンの発明は原爆の発明に匹敵するだろう。原爆の開発者たちは敵国の原爆の開発が先になるのを恐れた。この恐怖が科学者たちの原爆開発を急がせた。やがて開発に成功しそれを人間に対して使ってしまった。m-RNAの発明もコロナに対する恐怖から起こった。そしてそれを動物実験もしないで人間に使った。恐怖が理性をねじ伏せたのである。